第二に宿坊や仲見世を世界遺産の対象として考えるとき、このエリア一帯の文化財としての法的な保護制度を条件として整理する必要がある。
 現在、39ある宿坊のほとんどが木造3階建の建築群である。これらの建築物は現行の建築基準法、消防法、旅館業法などの規制や制約から、現状維持や改装が困難であったり、やむを得ず鉄筋コンクリート造のものに建て替えられているのが現状である。現行の法規から緩和し、歴史的な建築物群を保全していくために国の重要伝統的建造物群保存地区の選定が不可欠といえる。世界遺産登録実現に向けて、善光寺とその周辺が抱える課題を克服していくための法的条件整理が重要となる。
そのためには、住民の合意形成、行政による保護制度の施策、専門家による学術調査が必要であり、早急にすすめることが肝要である。
 第三に世界遺産に相応しい周辺環境の具体的な構想を提言したい。
近年、善光寺周辺を取り巻く環境は門前町として発展してきた歴史性を持ちながらも、近代化による生活観の変化や歴史的価値観の希薄さから、都市景観が大きく変貌し、加えて中心市街地の空洞化による衰退が深刻化している。
 善光寺がもつ本来の歴史的存在価値を見つめ直し、門前町として発展してきた長野市の将来の在り方を見据えた構想を提言したい。
 この構想は境内や仲見世、宿坊の復元と保存、中心市街地の再生として、歴史的な街の雰囲気を創出し、参拝者の行き交う表参道の賑わいなどを提案。善光寺東側の城山公園は、仏都に相応しい荘厳な森とし里山の風景をつくる計画。緩やかな丘陵を活かして、建築物は大地に埋没するように配慮。崖地にはくさび形に段丘状の立体駐車場を計画。善光寺平を一望する高台には江戸時代に実現しなかった立川和四郎の作図(1796年)による五重ノ塔を建立する壮大なものである。
 善光寺とその周辺は,歴史的環境との共生のもとに継続する内外の社会的,経済的及び文化的な力の影響を受けつつ時代を超えて発展した、信仰や宗教と関連する歴史と人間社会によって創り出された文化の例証である。世界遺産登録に向けて、善光寺とその周辺の在り方をあらゆる視点から見つめ直し、人類共通の歴史的財産として後世に継承していくことが求められている。
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