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| 2004年度は、世界遺産登録に向けて具体的な一歩をすすめることのできた年となりました。それは、「重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建)」選定に向けて、長野市による「善光寺周辺伝統的建造物群保存予定地区調査委員会(以下、調査委員会)」が設置され、保存の対象となる宿坊の予備調査が行われるなど、行政関係の協力体制が確立されました。 |
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| 調査委員会の様子 |
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宿坊ヒアリング調査の様子(正智坊にて) |
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■調査委員会設置
調査委員会(委員長:宮澤智士・長岡造形大学名誉教授)は、昨年の12月に設置されました。調査委員会の主な目的は、対象地区内の建造物調査および歴史、宗教、民俗などの学術調査であり、学識経験者や善光寺役員に加えて当会の専門委員らによって構成されております。
今年の1月〜3月にかけて、一部の宿坊などの予備調査がすでに実施され、5月に開催された第2回調査委員会にて、予備調査結果の報告と本調査に向けた具体的な調査方針が示されました。
■予備調査の結果
予備調査は、土本俊和・信州大学工学部教授と同研究室を中心としたワーキンググループによって実施されました。調査では、39ある宿坊を個々に訪問し、所有者に対して建造物に関するヒアリングと写真撮影、史料収集などがされ、また明治24年の大火によって焼失の被害から免れた宿坊の中から3件(正智坊・兄部坊・常徳院)の建造物実測調査が行われました。
ヒアリング調査の結果、対象地区は明治24年(1891)に2度の大火により仁王門を含むほとんどの宿坊が焼失して壊滅的な被害を受けましたが、被害を免れた宿坊が9件あり、その中で現在も当時の状態で保存されている宿坊は6件となっていることが確認されました。(薬王院・光明院・常徳院・正智坊・兄部坊・寿量院)
また明治大火の復興にあたりその再建過程に共通点が多いことや、鉄道の開通による参拝者の増大に伴った広間を含む3階への増床が、明治後期から昭和初期に集中しており、この頃に現在の宿坊の原型が確立したものと報告されております。
その他に調査委員会では、明治大火の再建にあたり、講元からの寄進を受けたり、全国を行脚(あんぎゃ)し勧進を行うなど大変なご苦労をされたことや、持郡制により有力な郡を割り当てられていた宿坊の再建と、逆に再建に相当な年月と労力がかかった宿坊などさまざまな貴重なお話の一部が紹介されました。全国各地から金銭だけでなく建築材料や大工などの物資や技術が提供され、その影響を建物に垣間みられることや、異なる宿坊において同一の大工による再建と類似する形態が確認されるなど、日頃思いがけない部分の結果が報告され、本調査に向けてさらに関心が高まってきております。
■本調査に向けて
予備調査の結果を踏まえて、本調査は宿坊の中で重要度の高いものから順次、実測調査が行なわれる予定です。今年度は12件程度の宿坊に加えて、大勧進、大本願のヒアリング調査、写真撮影が行なわれる予定で、最終的な調査結果のとりまとめは平成19年度を予定しております。本調査では伝建地区指定を目指した実態調査だけでなく、対象地区内の保存条例や保存計画の立案にあたり、世界遺産登録に向けた意義をあわせて検討し、まち固有の歴史、文化などの価値を正しく顕在化していくことによって、善光寺の世界遺産登録実現を目指していく方針です。 |